GUZZIにハマッていった経緯

1000 DATONA

91年のミラノショウ。それまで自分にとって全く興味の対象外だったMOTOGUZZIから、気になる一台が登場した。
GUZZI初のOHC4バルブエンジンを積む、インジェクション吸気のスポーツバイク、1000デイトナ。
GUZZIをベースに製作されたプライベートレーサーがきっかけで開発されたという特殊な経緯を持つ。
それまでは直線一定巡航を得意とするモデルが多かった中で、はじめてGUZZIからDUCATIに対抗しうるバイクが登場したと言われていた。

自分のグッツィに対する興味はこの時から既に始まっていた。


1100 SPORT

自分がMOTOGUZZIを好きになった直接のきっかけが 95年春にデビューした1100スポルトだった。

1000デイトナ を更にシャープにしたような、低くて長い、この流麗なイタリアンデザインにやられてしまったのだ。
OHC4バルブがありながら、旧態依然としたOHV2バルブに戻ったのには 疑問があったが、
どうやら高回転を得たかわりに粘り強いトルク感が希薄になってしまったOHC4バルブよりも、OHV2バルブを支持するファンが多かったらしい。

97年にはインジェクションを採用して乗り味は洗練され、リヤホイールも18→17インチへと現代的な変更を受ける

漠然と いつかはコレに乗りたいという思いを抱いていた。
MAGNI AUSTRALIA

オリジナルフレームにGUZZIエンジンを積んだスペシャルバイクを少量生産するマーニ。
94年登場のオーストラリアはDAYTONA系のOHCを積む。
カウルの切りかきからシリンダーヘッドが飛び出しているのがグッツィの証。

登場当時からして角目1灯はすでに古いデザインだったのだが、何故か妙に気になる存在だった。
今にして思えば奇をてらわないオーソドックスなデザインによる安心感のみならず、
フルカウルのレプリカルックと縦置きVツインや2本だしマフラーという組み合わせの、特異性が好きだったのかもしれない。

MAGNI 1100 SFIDA

96年登場。
シルエットもシートもむちゃくちゃ低い。誰でも両足ベッタリで膝が曲がる程だし、 走り去る姿は低くて更に異様。
ちなみに01年にV11と共に乗ったが、ドタンバタンとにぎやかなバイクだった。
洗練されたV11よりもよほどGUZZIのイメージに近かった。

その後バリエーションモデルとして丸目仕様も登場。 こちらの方がカフェレーサーっぽくて自然。
ライトが丸くなっただけで8万も高い。
1100 SPORT CORSA

99年登場の1100スポルト最終型。
キャリロコンロッド、テルミニョーニマフラー、黒塗装エンジンなどを採用した限定車。

生産終了と聞いて、なんとなくこれを手に入れておかないと後悔する様な気がしていたが
きっともっといいモデルチェンジ版も出るだろうと思い、現実問題として購入を考えることろまでは行かなかった。
V11 SPORT

1100 SPORT CORSAは完売になり、後継機種として V11 SPORTが登場した。
コンパクトな6速ギヤボックスを持つ新型エンジンを積む全くのニューモデルだった。
ネイキッドよりもスポーツ寄りのカウルレススタイル、低めのハンドル、大きなタンク、などが初期型スピードトリプルを思いださせ好感を持ったが、
カウルも持たず、純粋なスポーツモデルとも言いがたいスタイルのせいで、1100SPORTの後継という気がしなかった。
元々長くて流麗なカウルデザインに惚れた自分としては ピンとこなかったのだ。


V11 SPORT ROSSO MANDELO

01年に試乗したV11の限定バージョン。V11スポルト ロッソ マンデーロ という長い名前を持つ。
非常に深いレッドとつや消しグレーの組合わせにヤラれた。 吸い込まれそうなどこまでも深い赤はそれだけで手に入れる価値ありとさえ思った。

アイドリング時にブルブルと車体を震わせる様は生き物のようであり親しみを感じる。
縦置きエンジン特有のトルクリアクションは思ったほど大きくなく、違和感無く乗れるものだった。
イタ車だが足付きは良好。重すぎないが決して軽くも無い。必要十分だがゾクゾクするような速さは無い。
加速時に柔らかいが明確なパルスを発生するも、パーシャルでは振動はウソのように消える。
直線一定巡航が得意なグッツィだから、自分としてはパーシャル時にもパルスを感じたかったというのが正直なところ。
アクセルオフ時にはシャフトドライブらしく大き目のショックが出るため、減速およびシフトダウンは繊細な操作を要求する。
ラフに扱うと簡単にケツを振る。ゆったり感とシビアさを併せ持つ部分だ。

乗った後はしばらくウーンウーンと、うなってしまった。 速くも軽くも無いが、ゆったり走れるバイクの価値。他に似たものが無い強烈な個性。
自分の求めるものは一体何なのか...。自分にとってバイクとは何なのか...。価値観をひっくり返されるほどのインパクトと説得力があった。
一度走り始めたら遠くへ行きたい気分にさせる。重く大きく頑丈なエンジンは30〜40万キロだって耐えるという。
カリカリにチューンされたスーパースポーツは2万キロを超えると、パワーも落ち気味のヤレた車両という感が否めないが、
こいつは距離を重ねれば重ねるほど価値が増すような気分になる、不思議な一台だ。
MGS−01

02年 ミュンヘンショウで発表されたMGS−01にはヤラれた。 カッコ良すぎる。
DUCATIはサラブレッド、GUZZIは農耕馬、と言われているが、こいつはDUCATI916も目じゃないくらいセクシーだ。

でも形がカッコイイだけなら他にも選ぶものはある。このエンジンと組み合わさるから意味があるのだ。
このカッコ良さでエンジンにも独特の味わいがあるのだから。
このスタイルでドコドコ言うんだぜ。アイドリングで車体が大きくブルブル震えるんだぜ。
流麗なスタイル、オーリンズ倒立フォーク、ブレンボキャリパー、モノコックリヤアーム、エキパイのラインとシート下マフラー、軽量ホイール...
これだけの先進的豪華装備に、前時代的な空冷縦置きVツインとシャフトドライブ。 このアンバランスがイイのだ!

スポルト系のOHVではなくデイトナ系のOHC4バルブ。
だからソコソコには速いと思うが、それでも国産4気筒やドカに比べると間違い無く遅い。
でもそんなことはどうだってイイ。 他では有り得ない存在価値がある。

市販予定だったが、結局2年以上経過してからレース仕様が出た後、一般公道仕様のプロジェクトは陽の目を見ないまま終了した。