購入の経緯 と 第一印象

有名なGUZZIショップであるGSJのホームページ上で中古の赤いコルサを見てしまったのがそもそもの始まり。
GUZZI好きの自分でさえ、限定車であるコルサは黄色のみだと思っていた。 赤があるなんて知らなかった。 
GSJに問い合わせたところ、赤は台数が少なく、とても珍しいようだ。 そうなるとなおさら惹かれる。 かっこいい...欲しい...

古い雑誌をひっくり返し、数少ない1100sportの記事をあさったのだが、どの雑誌にもポジションのキツさが書かれていた。
「タンクが長くハンドルが遠いため典型的なイタリアンポジションとなる。 シートは幅広で足つきが良くない。」と...
自分は前傾バイクには慣れているつもりだが、各誌で言うほどの前傾のキツさは一体どの程度のものなんだろう
ポジションのキツさゆえに乗るのがおっくうになってしまっては意味が無い。 これを確かめない事には結論が出せない。
しかしこの車両はHP掲載後わずか4日で売約済になってしまった。 がっかり...もう赤コルサの中古なんて二度と出ないだろうな...

それからは毎日ネットで検索していた。 そもそもDUCATIなんかと比べたら、GUZZIは中古自体が極端に少ない。
そんな中で更に少ない1100sportの、しかも限定車の、しかも希少な赤。 自分でも無茶な探し物であることが分かっていた。
そうしたら10日後、見つけた。 大阪のユーロスポルトというショップにあるじゃないですか! 赤コルサが!
これは正に運命の出会いではないか? あぁでも決められない。 自分に乗れるものなのかどうか確かめないで買うほど安いもんじゃない。

とにかく現車を見て、またがってポジションだけでも確認しないと話は進まない。 レッドバロンに全道の店舗の在庫を調べてもらったが当然無い。
北海道唯一の代理店アウフヴィントに行ったが、1100sportはまず入ってくることは無いとのお答え。 だよなぁ...。
事情を説明すると、お客さんで乗ってる人がいるから紹介してくれるということになった。

後日K氏に会いに行き、車両を見せてもらった。 1100sportの現車を見るのは初めてだった。
かっこいい。 なんとも長くて平べったい。 これと並んじゃうとデイトナが国産のSSと変わらないなぁって思う。
またがらせてもらうと...あ、平気だ。 確かにキツいが、全然大丈夫じゃん! 彼の車両はローシートが装着してあったため足つきも抜群。

あ〜マズイ...イケてしまう...買うことになってしまう...
K氏は言っていた。「これに乗ったらおしまいですよ...色んな意味で...」 う〜ん深い言葉だ...
大阪のショップから車両の画像を沢山送ってもらい確認。ずいぶん綺麗な車両のようだ。
「今まで一番遠くで九州の人に売った事があるが、その人も新幹線で現車を見に来た。見ないで買う人は初めてだ。」とのこと。

悩み葛藤があったものの、1ヶ月後。 sportが大阪から海を越え札幌にやってきた。 ヤバイくらいかっこいい
全国的に見てもGUZZIは台数が少ないが、その中でも北海道のGUZZI率は更に低いと思う。
GUZZIが、1100sportが、北海道に一台増えた事を誇りに思う。
ファーストコンタクト
<取り回し・始動・発進>
押し引きした感じは思っていたより全然普通。 シャフト車だから重いだろうと思っていたのだが、全く問題なし。
重たいエンジンを回すのに電力が負けていて止まりそうになる、心もとないセルの回り方はハーレーにそっくりだ。
シュトンシュトンというアイドリング。 ハーレーやビューエルはアイドリングで縦揺れするが、こいつは横揺れする。
クラッチを握るとシャラシャラという音が聞こえて初めて乾式クラッチであると知る。
力士に後ろから突っ張りをされているかのような、ダッダッダッという断続的に背中を押される感覚に一瞬戸惑う。 前輪がすごく手前にあるように感じるのは何故だろう。

<エンジンフィーリング>
自分が初めてGUZZIに乗ったのは5年前だった。 新型エンジンのV11ロッソ・マンデーロ と 1100sportエンジンを積むマーニ・スフィーダ。
V11はとても滑らかで、角の取れた鼓動感が心地よく、ゆったり乗れるキャラクターに感動したものの、GUZZIらしくない、もうちょっとクセがあってもいいと思ったのも事実。
スフィーダはドタンバタンと随分にぎやかなバイクで、楽しむ以前にガサツさ、鈍重さばかりが印象に残った。 これはちょっと...と思った。
あの2台の中間くらいだったらいいなと贅沢な期待をしていたのだが、正にドンピシャ。
ドロドロバタバタしながらもしっかりレスポンスし、かつ乗りやすいという期待通り、いや期待以上のエンジンフィーリングだった。
この時の感動は15年前、限定解除して初めのビックバイクGSX−R1100を店で受け取り、ビクビクしながら走り出した直後の感動にすごくよく似ていた。
「うわぁ、コレすげぇな、おんもしれぇ〜!」

<加速>
初めて乗った時はきっと、その遅さにがっかりするんだろうなと予想していた。 でもそれは杞憂だった。
そりゃ現代のビックバイクの中にあっては明らかに遅いけど、加速性能は必要にして十分。 これだけあれば恐らく不便を感じることは無いだろう。
開けるとバキューンとは行かないけど、ドタドタとトルクで加速する。レスポンスはいい。
DUCATIがサラブレッドの華麗な疾走だとするなら、コイツは角田信朗か室伏広治が叫びながら全力疾走してるような感じだ。

<コーナリング>
コーナリング中のどっしりした安定感は初めての体験だった。
この安定感は、ちょっと乗り方を変えてもガンとして揺るがないから、逆に言えば正しい乗り方が分からない。
アクションに対してはっきりと曲がり方が変わってくれれば、このバイクの正しい乗り方、何が良くて何が悪いのかが分かるのだが、それが分からないのだ。
更に 流して走る時は問題にならないが、ペースが上がってくるとシフトダウンのシビアさが顔を出す。 コイツは難しい。
自分が乗って速く走れたのは間違いなくトライアンフデイトナだったと思う。 コイツは頑張ってもデイトナのようには走れないと思う。
進入ではドタンバタンするエンジンと格闘し、一旦曲がり始めるとビシッと安定するコーナリング。 コイツを攻略するのは時間がかかりそうだな。