違うよ、見た目だって! (2003/6/18)

もう十数年も前からバイクの基本構成の理想は追求しつくされ、ほぼ解明され、
突拍子も無いものは出てこないほど、熟成が進んだ。
結果、どのメーカーも同じような構成を持つ商品ばかりになった。

80年代は異常なまでの開発競争が展開されていたにもかかわらず、「正解」というものがまだ見つかっていなかったから、
各メーカーの考え方や方法論の違いから、色んな構成を持つ商品が存在した。
同じスポーツバイクというジャンルでもホイールサイズは18インチと16インチが同時に存在した。
2stのエンジン形式はV型、並列、タンデムツインが同時に存在した。
アルミフレームに鉄のシートレールの組合せが多かった時に、重心から遠い場所が軽い方が有利だからと、
鉄フレームにアルミシートレールの組み合わせこそベストと謳っているメーカーが存在した。

ところが今は車体もエンジンも各メーカー似たり寄ったり…

今となってはバイクの中身なんてどれも大差ない。
性能も乗りやすさも信頼性も。
極論すれば、見た目の好みで選ぶくらいしか判断基準がなくなってしまったとも言える。

鳴り物入りで登場したが、売れずに消えていったバイク、すぐに大幅なモデルチェンジがなされたバイクについて、
ジャーナリストはそれぞれの分析を披露する。

「コンセプトが時代よりも先に行き過ぎていたのか。」
…違うよ、カッコ悪いから売れないんだよ。

「ハンドリングのシビアさが、サーキットを走らない多くの一般ライダーに受け入れられなかったに違いない」
…違うよ、デザインが悪かったんだよ。

「ヨーロッパを意識したコンセプトが日本の道には合わなかったのだ」
…違うよ、見た目だって!

残念だけど、人間は隠された中身の価値より、見た目に非常に左右されやすい生き物なのだ。