ペット(その2) (2003/07/1)
自分は基本的に化粧が嫌いだ。
においも嫌いだし、唇が不自然に赤くてまぶたの青い顔には近づきたくない。
見た目が整いすぎている犬や猫を見ていると、女の化粧をイメージする。
昔 犬を飼っていた。その犬は自分が物心ついた頃には既にいた。
毛並みも整っていない中型の雑種だったが、家に遊びに来る友達は、誰もがカワイイと言っていた。
ウチの犬は人気者だった。
昔自分は、虫を殺すこともできない奴だったが、しかし特別動物をかわいがるという人間でも無かった。
その犬とは小さい頃はよく遊んだような気がするが、家族と口を利かなくなった中学生くらいからは
犬にもほとんどかまってやらなくなった。
散歩もしなかった。 よくヒステリックな吠え方をしていた。 当然だ。
毎日するのが当たり前なのに、滅多に散歩してやらなかったのだから。
今になって自分はそのことを痛烈に後悔している。
その犬は自分が高校生の頃、老衰で死んだ。
穏やかに死んだとはいえ、決して幸せではなかったに違いない。
今自分が妙に犬をかわいがりたいと思ったり、見た目がみすぼらしい犬でもすごくかわいく見えるのは、それのトラウマなのかもしれない。
俺が死んだら、また会えるだろうか。
会えるものならどうやって償えばいいのか。
あの世で散歩してあげることはできるんだろうか。