ロッシ移籍 (2004/7/5)

GPが地上波で放送されなくなってから、すっかりレースを観なくなった。
正確に言うと 観たくても観れなくなった。

先日友人からビデオを借りて、今年のMotoGPの3戦を観た。
久しぶりにテレビの前でアツくなった。
特に第1戦はこれこそレースの醍醐味!っていうくらい面白かった。

面白かったと同時に懐かしい感じがした。

GPの黄金期には地上波でレースが放映されていて、毎週放送を心底楽しみにしていた。
性能的に不利で不安定なマシンを駆って、性能の高いマシンを負かすケビン・シュワンツの走り。
決して独走で勝つことが無く、数々の名勝負を生んだ彼の走り。
ギリギリのところで走っていた彼は、それゆえ転倒も多く、チェッカーが振られるまでハラハラしっぱなしで観る側も気を抜けなかった。
一瞬たりとも見逃さないように画面に食い入り、
録画放送なのにリアルタイムで観ているかのように、こぶしを握り締めて息を呑み、
結果に一喜一憂していた。
ケビンが勝ったときは両手を突き上げて歓声を上げ、ケビンが勝てない時はマジでふてくされたりした。

ウェイン・レイニーが引退し、ケビン・シュワンツが引退してからは、意地と意地のぶつかり合いのようなレースは見られなくなった。
終わる前から結果が見えるレース。勝つのは大体いつも同じ人。同じメーカーのマシン。
GPがF1と同じような感じになっていた。

ホンダに乗っていた頃のロッシも同じだった。
手に汗を握る必要が無い。安心して観ていられる。確実に勝つ。

レースを安心して観ていられるなんて、そんなのレースじゃない。

でもヤマハに移籍したロッシの走りはシュワンツを思い起こさせるものだった。
性能的に不利なマシンに乗り、元々自分がいたNo1のチームをやっつける。
なんて痛快な事。 男だなー。 かっこいいよ。

レースが面白いのは、最後の最後まで誰が勝つかわからない展開、
ライダー同士の争い、メーカー同士の争い、マシンの性能差をカバーするマンパワー...
バレンティーノ・ロッシの移籍が こんなにもレース全体を面白くしているなんて、本当に彼は偉大だな。