宮崎駿作品のバケモノ達 (2004/11/12)

「シュレック」 面白かったなぁ。
フルCGの映画って始めてみたけど素晴らしいなぁ。
驚いたのは、感情表現が豊かで、微妙な表情が見事に表現されていること。
本当に生きてるみたいだ。 いや、人間が演じるよりもよっぽど絶妙な表情を見せてくれた。
そして内容も、ストーリー自体は極めてシンプルなんだけど、とても面白かった。
極単純に面白かったなって素直に思える作品。 子供も大人も同じレベルで楽しんで同じ感想を持てる。 これって素敵なことだなぁ。


さてさて、日本を代表するアニメと言えば、宮崎駿作品。
彼の作品も多くの人に愛されていて、大人も子供も楽しめるものですが、
遥かに奥が深く、世の中に対する非難や皮肉がたっぷり隠されていて、遥かにマニアック。大人向けだと思いますね。

彼の作品が愛されている理由は、壮大なスケールの夢物語であったり、愛すべきキャラクターであったりすると思うのですが、
自分がいつもすごいなぁと感心するのは、彼が描く 「バケモノ」の表現なのです。

まず思い浮かぶのは、「風の谷のナウシカ」 に登場する「巨神兵」
これはオープニングタイトルの段階からイメージ映像が流れていて、不気味さを漂わせていましたね。
ラストで、口からビームを発してオームを倒しつつ、苦しそうにどんどん朽ち果てていく場面は強烈なインパクトがありました。
彼はなんというバケモノを創造したのだ、と圧倒されました。

次に思い出すのが「もののけ姫」 の 「シシ神」。
人間に首を切り落とされた後、変貌して自分の首を探す、あのバケモノぶりも、ものすごかった。

そして「千と千尋の神隠し」。
これには数々のバケモノが登場するが、際立っていたのは「カオナシ」
非常におとなしい、個性も感情も持たないかのような存在が、恐ろしい人食いに変貌する。
これを見たときも、「あぁ、宮崎駿はまたまたスゴいバケモノを生み出したなぁ」と痛く関心してしまった。
あの「カオナシ」は一体何者だったのか、何を象徴していたのか、何の権化だったのか、結局分からない。
薄笑いを浮かべたお面で顔を隠し、お面の内側に顔は無い。その無個性と内に秘めた凶暴性との対比も魅力を増幅する。
あんなバケモノでも千尋のことが好きなのか、無言でトボトボと千尋の後をついて歩く姿に哀愁があって、愛すべきキャラになってしまう。

もちろんこれだけじゃない。他にもまだまだある。
やさしく、暖かで、美しい世界と、醜く凶暴なバケモノ達の世界。

彼は一体どんな人なんでしょう。
非常に穏やかで平和な人間であるがゆえに、醜い世界を描きたがるのか。
凶暴性を持った人間であるがゆえに、美しい世界に対する強い憧れを持っているのか。
極端などちらかのサイドにいる人のような気がします。 もちろん決して悪い意味じゃなく。
だからこそ誰にも真似できない強烈な個性を放ち、多くの人に感動を与えられるんですから。