何も結論など出ていない(その2) (2006/10/13)

自分の人生に見切りをつけてしまった人に対して
自分は 「なんてバカな事を」 と言った。 確かに言った。
でもそれは何故「バカな事」なんだ? 本当に「バカな事」なのか?
自分で自分の人生に幕を引くことが 「バカな事である」理由 を説明できる人が果たしているだろうか。

「人生は素晴らしい、必ず道は開ける、だから頑張って生き続けるんだ」

素晴らしいと思うかどうかは本人の問題だし、頑張れって言ったって何故頑張る必要があるのだ?

確かに人間は頑張る必要がある。
でもそれは 「生き続けていく」 という大前提があっての話だ。
本人が「生き続けていく」意思を無くしたのなら、頑張る理由は無くなってしまう。
「その先」の話をしてしまえばそれは宗教論になる。
「先」など無く、死んでしまえば全て終わりだとしたら、苦しい状況から逃げ出して悪い理由が無い。

充実して面白おかしく生きていっても どうせいつか終わるのならそれも空しい事。
苦しい人生を送っていっても どうせいつか終わるのなら早めに終わらせたって同じ事。

かわいそうなのは死んだ本人じゃなくて残されたほうだ。
「人生は素晴らしい。だから生き続けろ」 っていうセリフは
自分が身近な人を失って悲しい思いをしたくない 残される側の勝手な都合じゃないのか?
苦しいのに 耐えて行き続けろって言う方がよっぽど酷じゃないか。

彼の先の人生をどれほど見抜いてそんな事を言っているのだ?
彼の苦しみをどれほど実感してそんな事を言っているのだ?
彼に待ち受けている素晴らしい人生とやらをどれほど保証してくれるのだ?

「人生は素晴らしい、必ず道は開ける、だから頑張って生き続けるんだ」
これは実は人間の身勝手なエゴを最も象徴する言葉なのではないのか?