600cc (2006/11/5)

自分は随分前に「600ccがもっと認められるようになればバイク市場はもっと面白くなる」っていう話をした。
そう言いながらも、「結局そういう時代は来ないだろうな」と思っていたのが正直なところ。
でも最近、600クラスが随分メジャーになってきた。 いい傾向だ。
なにがなんでも大排気量、馬力はあればあるだけいい、っていう時代は終わった。
600に乗る人は 日本人が昔から潜在的に持っている「大きい事はいいことだ」意識から脱却した、考え方の進んでる人だと思う。

どのメーカーも600クラスを 1000クラスや400クラスのデザインの焼き直しと、装備を簡素にする事によって成立させてきた。
理由は簡単。 ヨーロッパにおいて 税金や保険も安い600ccは長い間 大衆車として経済性が重視されてきたからだ。
GPZ600RやCBR600Fなど、日本の400と全く同じ姿かたちをしていて、400はアルミフレーム、600は鉄というものは多かった。
車両コストを抑えるために、最新技術や高価な素材も見送られ、 新しいデザインを生み出すコストも回避されてきたわけだ。
だから600でデザイントレンドを生み出すという例は皆無に等しかったし、アルミフレームや倒立フォークの採用も随分遅れた。

日本では400以上は税金も保険も全く同じ。 だったら どうせ買うなら大きいのってなるのは当然。
1000クラスの方が先端技術満載だし、見た目もカッコイイし、見栄はれるし...

それが2000年前後から立場が逆転してきた。
600に新しい技術が投入されるようになり、デザイン的にもトレンドを引っ張る傾向が見えてきた。
ラジアルマウントキャリパーを始めて採用したのはZX-6Rだったし
06年のYZF-R6はリッターバイクがビビって逃げ出すような迫力のある顔を与えられ、これからのトレンドを予感させる前衛的なデザインの提案をしてきた。

日本の狭い道に合ってるし、扱いきれる適度なパワー、っていう理由で増えてきた600クラスだが、
これからは「600が最先端だから」 「600の方がカッコイイから」という理由で選ぶ人が増えてきそうだ。

今のところ600クラスの盛り上がりのほとんどがスーパースポーツ。
その盛り上がりによって現在の600スーパースポーツは1000クラス以上に尖がっていて、シートもメチャ高く、とても気軽に乗れるシロモノではない。
そこがちょっとだけもったいないなと思う。
十分に余裕のあるパワー、軽くてコンパクトでロングにも通勤にも気軽に使えるオールラウンダー。 600クラスは一番その素質のあるクラスだから。