ボニーピンク (2006/11/7)

10年以上前、ボニーピンクの「Heaven’s Kitchen」を聴いた時 「スゴイ!」って思った。
この人は絶対に売れる!って確信して、友達にも宣伝して回った。「間違いなく売れるから聴いてみて」って。
その後、根強いファンは生んだものの、自分が考えているほどメジャーにはならなかった。
なんでだろう、おかしいな....

でも最近随分目立ってきた。 HeyHeyHeyの生放送スペシャルにも呼ばれたし、ベストアルバムも随分売れているようだ。
きっかけになったのは「嫌われ松子の一生」の挿入歌として使われて出演まで果たした事と、
CMソングに採用されたこと。(上半身裸のエビちゃんが化粧品のボトルをカメラに向かって投げて、上手い具合におっぱいが見えないあのCMね)

メジャーになったのは大いに結構。 遅い。遅すぎる。もっと前から売れてよかったはずの人だ。
でも遅かった事より もっと問題な事がある。
爆発的に売れた曲が、「ボニーピンク色」に乏しい事だ。

彼女の作品には独特の世界があった。 自分が「スゴイ!」って思ったのは 誰にも真似のできない個性だった。
他の人にはできない彼女だけの世界。 彼女の代わりが出来る人は存在しなかった。

でも彼女をメジャーに引き上げていった作品は、どこにでもあるようなポップで親しみやすいものだった。
残念ながらこういう雰囲気の曲であれば、「ボニーピンクでなきゃいけない」理由が無い。
彼女である必要が無い。 他の人でもいい。

例のCMソング「Perfect Sky」を気に入って彼女のベストアルバムを買った人は
このヒット曲とそれ以外の曲の 雰囲気の違いにビックリしたかもしれない。
「CMソングはイイのに他のアルバム曲はイマイチだ~」とか言うかもしれない。
でも古くから聴いていた人にとっては、「Perfect Sky」が異端で違和感があるのだ。

ミュージシャンである以上 売れたいし売れる必要がある。 多くの人にウケる必要がある。
多くの人にウケるためにはクセを無くして一般的にしなくちゃならないんだろうか。
皮肉なもんだな。

これから。
今回のブレイクはあくまで「きっかけ」として、彼女だけの独特な世界を広くアピールしていくのか、
それとも売れ続けるために、軽い「流行歌」の方向にシフトしていくのか、
ちょっと見ものだな。