映画「天気の子か~ら~の声優論 (2019/09/01)

映画「天気の子」観てきました。
良かった。ただ、さすがに「君の名は」には及ばなかったが…。

自分はアニメの声や外国映画の吹き替えに、
俳優やアイドル、芸人等を使う事に、基本的に反対です。
昨今、人気芸能人を吹き替えに起用して、それを売りに客を呼ぼうとする傾向にある。
自分は誰が声優をやっているかで映画を選ばないが、
きっとその話題性に釣られて、映画を観る人が実際に多いのでしょう。
俳優も演技をする職業だから、まぁまぁ声優に向いているのかもしれないが、
やっぱり表情や手ぶりが使えない、声だけで全てを表現する世界で勝負をしている、
本職の声優の方が、一枚も二枚も上手であると思う。

さて、その件はこれくらいにしておいて、
先述の「天気の子」。
ある脇役の声優が、平泉成でした。

声の個性が強すぎる!平泉成は、どうしたって平泉成なんですよ。

声優の仕事って、ある意味「誰が吹き替えているのかを如何に気付かせないか」が勝負だと思うんですよ。
アニメの場合、絵ですから、彼らは100%この世に存在しない人なわけだ。
でも、登場キャラクターが実在するように感じ、ストーリーが実話のように感じて、
感情移入できるから、感動したり涙を流したりするわけです。
観客をそれだけアニメの世界にのめり込ませたら、声優の仕事は大成功ですよ。

でも、平泉成がしゃべるたびに、現実に引き戻されるんです。
そのキャラクターがしゃべるたびに、マイクの前に立つ平泉成の顔が浮かぶんです。
これは声優としては致命的。声の演技が上手い下手の問題ではない。

他のキャラクター達は「あ、誰の声だ」とは一切思わず、映画に入り込めた。
最後のエンドロールで、意外と本職の声優ではなく、人気俳優と分かり、
「え!あの声あの人だったんだ!」ってビックリ。聞かされても分からないくらい。
それならば、起用は成功なのでしょう。

もう一つの例が、「怪盗グルー」の笑福亭鶴瓶。
もう100%鶴瓶なんですよ。鶴瓶以外の何者でもない。
映画の最初から最後まで、グルーが活躍してるんじゃなくて、鶴瓶が動き回ってるとしか思えないんです。
アニメ映画としては絶対アウトですよね。