98年 蔵王と龍泉洞をゼッタイ見る

8/22 ~ 8/28

90年、日没後の薄暗い中でも感動的に美しかった蔵王
「必ずもう一度来る」という誓いを 8年後の今年 ようやく果たす
もうひとつは鍾乳洞フリークとしてはゼッタイに見ておかなくてはいけない龍泉洞の地底湖

8/22 札幌-青森 岩木山

初日。フェリーで青森上陸。 岩木山のふもとでキャンプ。

テント設営時に 突然「バキッ」という音とともにテントのフレームが折れた
昨年の鈴鹿での台風で曲がった部分だ。
フレームパイプの移植手術で何とかなったが、曲がってるところは他にもある。

旅は始まったばかりだと言うのに、これからのキャンプ生活に耐えられるのか?

8/23 岩木山-秋田県 男鹿半島

69あるらしいヘアピンコーナーが続く岩木山スカイラインを走る。

日本キャニオンを見る。

その後バッテリーターミナルの腐食によるエンジンストップ事件で大騒ぎ。

入道崎。 ここは夕日の名所らしく、広ーい芝生に沢山のカップルや家族づれがくつろいで海に沈む夕日を眺めている。
なんて素敵な場所なんだろう。

8/24 男鹿半島-宮城県 鬼首

日本三大地獄の一つ 川原毛地獄
自分はこういう 「この世のものとは思えない風景」が大好きなのだ。
小安峡大墳湯。

岩の裂け目から「ゴーッ」という音とともに98度のお湯が噴きだす。
すごい迫力。
湯気の中に立つとまるで野外サウナのようだ。
東北にはイイ温泉が沢山ある。
ここは川原毛湯の滝といって、日本一の湯の滝。
上の写真の「小安峡大墳湯」から出たお湯が、川となり、下流で落差20mの滝をつくる。

家族連れなんかが水着姿で入っている。
自分はそんな準備をしていないから、一人素っ裸で入り、挙句に写真まで撮ってもらう。

しぶきが顔にバシバシあたる。面白い面白い。
ぬるいから長く入っていられる。
露天風呂はゼッタイ混浴に限る。余計なついたてが無くて景色が広く見渡せるからだ。
露天風呂っていったって空しか見えないんじゃ意味が無い。

湯の倉温泉へ向かう。
ダートを20分走って、途中バイクを放置し、結構険しい山道を20分歩く。
湯の倉温泉。 渓流沿いの混浴露天風呂。
渓流を眺め、川のせせらぎを聞きながら入る温泉。
岩で囲まれた湯船は結構熱め。 岩に腰掛けて湯に足をつけ、熱くなってきたら反対を向いて今度は川の流れに足をつけて涼む。
極上! 贅沢なリラックスタイムだった。心底出たくなかった。

ここは自分にとってNo1温泉になった。
厳美渓の郭公だんご。

渓谷沿いの広場。 かごにお金を入れて合図を送ると かごがロープを伝って渓谷を挟んだ対岸にある団子屋まで登っていく。
そしてまたロープをつたって団子がスルスルーっとやってくるのだ。 おもしろーい。

対岸に行けば普通に店の中に座って団子が食べられるのだが、こちらで食べた方が遥かに楽しい。
そしてこの団子がまた絶品。 やわらかくてウマイんだ。

8/25 鬼首-宮城県 蔵王

昨晩はキャンプ場について、すぐそばの温泉に入った。 一日に3つの温泉に入ったわけだ。
松島を見て、蔵王のふもとのキャンプ場へ。

8/26 蔵王

さぁ今回の旅のメインイベントだ。
8年前、陽が落ちてから薄闇の中で見た蔵王は 感動的に美しかったが、今回は本当の姿を見ることができる。
峠を登っていくと、頂上に着く前から多くの雄大な景色が見られる。
これだけでも十分満足できるほどのドライブルートだ。
蔵王「御釜」
素晴らしい。 ただただ溜息をつくしかない。 なんということだ。

8年前に感動した蔵王は 明るい中で見ても感動的に美しかった。 
静かで、ダイナミックで、柔らかくて、鋭くて...どう表現していいのかわからない。
溶ける。 自分は風景に溶ける。 風景に包み込まれる感覚を味わう。

「絵のような美しさ」という表現があるが、本当に遠くに大きな絵がおいてあるかのような錯覚に陥る。
自分が見ているものが実はそこには無いのではないかと疑ってしまうような不思議な感覚。
遠巻きに見ながら歩く軽い登山のようなハイキングコースがある。 ぐるーっとまわっていろんな角度から眺めてみる。
ちょっと歩いては眺め、写真を撮り、を繰り返した。

近くに行ってみたい。 でもきっと、この美しさを保つために人間はあそこに行ってはいけないんだ。
時間をかけて歩いて、これ以上進むと御釜が見えなくなっていくポイントまで来た。

その先にもさらに風景が広がっていたので先に進んでみることにした。ここからは登山ではなく下山。
駐車場とは反対方向に山をおりていくことになる。 いろんな風景を楽しみながら下山していくと、「かもしか温泉跡」という案内看板を発見。「温泉」ならわかるが「温泉跡」ってなんだ?
ぜひ見てみたくてどんどん下山。
急斜面をロープをつたって降りるようなところもあり、冒険気分を楽しんだ。
花の写真を撮ったり、川遊びをしたり...

段々霧が出てきた事も気にせず...というよりも
気持ちが先行しすぎて、この時の自分には霧さえも目に入っていなかったのかもしれない...
ようやくたどり着いた「かもしか温泉跡」 硫黄のにおいと涌き出るわずかな量のお湯。
きっとここは過去には大量のお湯が出ていて立派な「温泉」だったのだろうが、湯量が減ってしまって「跡」になってしまったのだろう。
敬意を表して、水溜りのような温泉につかった。

さあ戻ろう。
この時点ではじめて、自分がかなり体力を消耗していることと、距離を進みすぎてしまったことに気づいた。
霧雨はやがて雨へと変わり、 急激に気温が下がってきた。 霧は濃霧となり、5m先も見えない。
もともとこんなに歩くつもりは無かったから 水も携帯食もない。

行きは「この先何があるんだろう」ってワクワクしながら調子に乗ってどんどん下山してしまったが、果たして頂上までどのくらいあるんだ?
寒い。 ものすごく寒い。 空腹以上に喉が乾いて我慢ができなくなってきた。
高山植物になっている実をむしって口に放り込み、わずかに出てくる水分で喉を潤す。

体力は限界。 疲れ過ぎて歩けない。 3分歩いては5分休む。高山植物の影に寝そべって風をしのぐ。

座り込んだ途端に猛烈な睡魔に襲われる。
「靴が泥だらけ」の図。 こういう写真でも撮って遊んで気を紛らわせないと あっという間に眠ってしまいそうになるのだ。

途中ミスコースをした。 すぐに分かるところまで戻って正しい道を見つけられたから良かった。
鈴の音が聞こえる...誰か来る...助かった。 でもすずの音は近づきも遠ざかりもしなかった。
今にして思えば 自分の後ろから誰かが来るはずは無く、こんな濃霧の中奥に進んでくる人がいるはずも無い。 あれは幻聴だった。

「御釜」が見える辺りに来ると霧も薄くなっていて、遠くにレストハウスが見えてきた。 その頃にはフラフラ蛇行しながら歩いていた。
レストハウスで水をがぶ飲みし、飯を食ってそのままテーブルに伏せて寝てしまった。

目が覚めて、あぁ自分は助かったんだなと実感した。

8/27 蔵王-札幌

夜、テントに強い雨があたっていたのだが、朝起きたらテントの中が床上浸水になっていた。
このままキャンプを続行するのは厳しい。帰ろう。
強烈な土砂降りの中、高速道路に乗って青森を目指して北上する。

途中雨がやんだのでやっぱり龍泉洞だけは見ておかないと後悔を残すと思い、盛岡で高速を降りた。
そしたらまた土砂降り。あーぁ...。
龍泉洞。

多量の水が流れる鍾乳洞。地底湖は確かに美しかったが、「お金を投げ込まないでください」の立て看板が興ざめだ。
そしてもっとがっかりするのが事実お金が投げ込まれていること。
水を見たらお金を投げ込むという習性を持つ人間は全く理解不能だ。
彼らの行動は「美しいものを台無しにする」ということ以外にどんな意味があるのだろう。
近くの「安家洞」にも行ってみた。 ここは日本で最長最古の鍾乳洞らしい。 が、雰囲気は大変地味で、
数々の鍾乳石も造形的に面白いものは少なかった。
久慈の「琥珀博物館」にも立ち寄って、帰路。
函館に上陸してもやっぱり雨。一気に走破して28日の朝札幌についた。
印象深い旅になった
たくさんの素晴らしい風景と温泉と...東北には見るべきところが沢山ある
そして蔵王は自分にとって「日本で一番好きな場所」となった
いろんな意味で忘れられない旅になった
総走行距離 2,536km

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